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これらのキャビンで優雅に空の旅を楽しむことができたのは、ごく限られた人たちだけだったのだ。
一九二七年に英国のインペリアル航空が、世界ではじめて一等、二等制度を導入したが、これは混合便ではなく、それぞれ専用便を運航したものだった。
ルートはロンドン~パリ線。
一等運賃は往復九ポンド、アームストロングーホイットワースーアーゴシー(客席一八~二〇席)で所要時間二時間三〇分、飲食サービスがあった。
二等のほうはパントリー・ページW.8を使い、運賃は往復七ポンドー○シリングで、所要時間二時間五〇分、もちろん何のサービスもなかった。
一九四〇年にアメリカのユナイテッド航空が、実験的に低運賃のエアコーチーサービスを提供したが、これもボーイング247Dを低運賃専用便として、サンフランシスコ~ロサンゼルス線で運航したものだった。
航空輸送が目覚しい発展を遂げたのは、第二次世界大戦後の一九四〇年代末から五〇年代にかけて、それは四発プロペラ旅客機の黄金時代でもあった。
この時期、ビジネス客を中心に、少しずつ大衆化も進んでいく。
そこで低運賃のクラス(コーチ、ツーリスト、エコノミーと呼称はさまざま)が登場することになった。
アメリカ国内では一九四九年からコーチクラスが、国際線では五二年からIATA(国際航空運送協会、四五年設立の世界のエアラインのカルテル)の協定によるツーリストクラスが正式に生まれた。
ダグラスDC-6やロッキードーコンステレーションで、客席数を約五〇パーセント増しにする一方で、料金は約五〇パーセント安くしたものだった。
当初は、そのコーチやツーリストも、やはり専用便を運航する形だったが、次第にファーストーツーリストの混合座席便が多くなり、その後長く、このニクラス制が旅客輸送の主流になった。
現在の焦点はビジネスクラスクラスに変化が起きたのは、一九八〇年代の半ばになってからだ。
シャンポージェット、ボーング747を筆頭に、ワイドボディと呼ばれる大型ジェット旅客機が、一九七〇年代以降国際線の中心になった。
それは、パック旅行に代表される、空の旅の大衆化の定着をも意味した。
それにともなって、大衆化したエコノミークラスとは一線を画したサービスを求める声が、ビジネス客から起こってきたのである。
このニーズに応えて、ファーストとエコノミーの中間クラス、ビジネスクラス(Cクラス)が誕生することになった。
オーストラリアのカンタス航空が最初とされている。
団体を中心にしたエコノミー客は、ほとんどが正規運賃の五分のIから10分のIという低運賃である。
それをファーストとビジネスの正規運賃がカバーしているというのがコストの現状なのだ(最近はビジネスの正規割引運賃もあるが)。
収益率は三〇パーセントを上回る(座席率は一八~二四パーセント程度)。
ビジネス客の比重の高さが分かるだろう。
そのため現在では、このビジネスクラスが各エアラインにとって、ショーウィンドウのような存在になっている。
たとえば、日本航空はエグゼクティヴSEASONS、全日空はCLUBANA、英国航空はクラブーワールド、エールーフランスはエスパスーアフェール、アリタリア航空はマニフィカ、シンガポール航空はラッフルズ、デルタ航空はビジネスエリート、ユナイテッド航空はコノシュア、ノースウェスト航空、KLMオランダ航空はワールドビジネスなど、ビジネスクラスにブランド名を付け、差別化を明確にしているエアラインが多い。
各社のビジネスクラスーシートビジネスクラスは、最も採算性が高い顧客層のクラスとなり、それだけに競争も激しい。
現在ビジネスクラス戦争などと呼ばれるくらいに、国際線ビジネスクラスでは激しいサービス競争、顧客獲得競争が展開されている。
シート(座席)、レイアウト、機内食やエンターテインメントなどの機内サービス、ビジネスサポートなど、差別化の進行は止まることを知らないほどだ。
そのサービスは限りなくファーストのリッチさに近づいており、逆にエコノミーークラスは限りなくチーフな方向に向かっている。
なかでもシートのオリジナリティは、目を見張るものがある。
全体の傾向としては、広いピッチ(前後のシート間隔)をとった各シートのパーソナル化、プライバシーと居住性を追求した個室化といえるだろう。
ファーストでは、日本航空の「JALニュー・スカイスリーパー・ソロ」や、全日空のニューファーストのフルフラット・ベッドーシートに代表される個室化で、ほぼ完全なプライバシー空間を提供するようになっている。
ビジネスでもそのコンセプトは共通している。
ビジネスクラスーシートのトレントは、まず背もたれが水平(あるいは水平に近い)状態まで倒せ、ベッドになるシートだ。
二〇〇〇年二月に、英国航空が「クラブーワールド」に導入して先鞭をつけた。
ヴァージンーアトランティック航空、キャセイーパシフィック航空、全日空、コンチネンタル航空、シンガポール航空、日本航空がこれに続いた。
代表的なエアラインの、ビジネスクラスーシートを見てみよう。
まずシートーサービス競争の火付け役となった英国航空。
完全なフルフラット、つまり背もたれが一八〇度まで倒れ、しかもフットスタンド付きなので、床面に対して完全に水平というベッド型だ。
他社のフルフラットは、足元が低い斜めになった水平角度だが、英国航空のシートは足元から水平である。
ベッドにしたときの長さは一八三センチ。
シート幅五一センチ(肘掛け含まず)、シートピッチは一八五センチ。
シートが前向き、後ろ向きと互い違いに配置されているのが特徴で、同行者と向き合うことのできるラウンジ感覚だ。
一人になりたいときは、開閉自由のスクリーンでプライバシーを守ることができる。
全日空は、イージースリーパー・シートと呼ぶフルフラット。
完全電動式で、手元のコントロ上フーを使い無段階調節可能だ。
振動する腰マッサージ機能も付く。
シート幅六九センチ(肘掛け含む)、シートピッチは一六五センチ。
睡眠用に大型枕と羽根布団、キャビンウェアもサービスされる。
ヴァージンーアトランティック航空のスリーパーシートは、スイッチひとってシートがスライドして、長さニメートルのフルフラットーベッドになる。
シートピッチは一四〇センチ。
枕、羽根布団、それにキャビンウェアを提供するサービスの草分けだ。
日本航空シェルーフラットーシートは、その名の通り貝殻を思わせるフォルムで、乗客を一人ずつ包み込むイメージだ。
コンセプトは、リラックスーアンドープライペート。
最大リクライニング角度一七〇度。
マッサージ機能付き。
ベッドにしたときの長さは一九〇センチ。
シート幅五九センチ(肘掛け含む)、シートピッチー五七センチ。
コンチネンタル航空は、ニクラス制。
その「ビジネスファースト」のシートは、ワンタッチで最大一七〇度までリクライニング可能でベッドに(B777)。
レッグレスト、フットレストも無段階調節。
ベッドにしたときの長さは約ニメートル。
シートークッションには、体の形を記憶するメモリーフォーム(無反発素材)を使用。
肘掛けの部分を含まない、シート幅五六センチは世界一の広さだ。
キングサイズーシートと称している。
シートピッチは一四〇センチ。
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